
不器用なタッシュ
第13章 奪回
「香織! もう停めて待ってんだけど、まだかよ!」
『お疲れ様』も言わずに、開口一番に感情のまま吐き出した。
香織にはたかが10分かもしれないけど、朝からこの時間を待っていた俺には10時間以上の経っているんだ。
『あっ……今、下りたから……』
俺の苛立ちに怯えるように、香織の声は戸惑っている。
そうさせているのは俺なのに、震える香織に余計苛立ちが増長していく。
「早くしろよ! 長くは、停めておけないからさ」
もう下に下りて来ているのに、早く出て来ない香織に妙な不安が過る。
早く香織の姿が見たかったんだ――
それだけで俺は今日一日待っていたことが無駄じゃないって思えたんだ――――
なのに突然、思わぬ声が携帯から聞こえてきやがった。
『もしも~し! よっしぃ~! 俺だけど!』
そう……
その声は……
「あんた……小田切っ!」
『は~い! 小田っちで~す!』
この世で一番憎い奴だった――――。
『お疲れ様』も言わずに、開口一番に感情のまま吐き出した。
香織にはたかが10分かもしれないけど、朝からこの時間を待っていた俺には10時間以上の経っているんだ。
『あっ……今、下りたから……』
俺の苛立ちに怯えるように、香織の声は戸惑っている。
そうさせているのは俺なのに、震える香織に余計苛立ちが増長していく。
「早くしろよ! 長くは、停めておけないからさ」
もう下に下りて来ているのに、早く出て来ない香織に妙な不安が過る。
早く香織の姿が見たかったんだ――
それだけで俺は今日一日待っていたことが無駄じゃないって思えたんだ――――
なのに突然、思わぬ声が携帯から聞こえてきやがった。
『もしも~し! よっしぃ~! 俺だけど!』
そう……
その声は……
「あんた……小田切っ!」
『は~い! 小田っちで~す!』
この世で一番憎い奴だった――――。
