
不器用なタッシュ
第14章 発動
――――そしてミーティングの日。
「イタリアに因んで、イタリアンだったり!」
との辻さんの予想は全くもって外れて、ランチミーティングは風情のある和食の料亭だった。
それも理由は――――。
「すみません、渡辺がちょっと体調不良で…。もっと重たいものが良かったですかね?」
「いえいえ! こちらからの提案なのに、こんな素晴らしところ用意して頂き、有り難うございます! 渡辺さん大丈夫ですか?」
「あ……はい……。ちょっと貧血気味で……」
香織の体調不良だ。
凄く心配気に辻さんが香織の様子を伺うが、自分の体調より俺へ警戒心の方に神経を使っているのが明らかに分かる。
ここで、取って食いやしねぇよ。
香織の体調が気にはなるが、ここは下手に刺激しないようにスルーしておく。
敢えて、席を香織の正面ではなく斜めに向かいにしたのも『最大の切り札』の威力を発揮させるためだ。
視界ギリギリに香織を収めながら、のんびりお茶を啜りだす。
料理は多分、軽めのコースかな。
今日は俺が動かなくても、勝手にことは進むしな――――。
そんなことを考えている俺の横で、辻さんが興奮気味に話しだした。
「イタリアに因んで、イタリアンだったり!」
との辻さんの予想は全くもって外れて、ランチミーティングは風情のある和食の料亭だった。
それも理由は――――。
「すみません、渡辺がちょっと体調不良で…。もっと重たいものが良かったですかね?」
「いえいえ! こちらからの提案なのに、こんな素晴らしところ用意して頂き、有り難うございます! 渡辺さん大丈夫ですか?」
「あ……はい……。ちょっと貧血気味で……」
香織の体調不良だ。
凄く心配気に辻さんが香織の様子を伺うが、自分の体調より俺へ警戒心の方に神経を使っているのが明らかに分かる。
ここで、取って食いやしねぇよ。
香織の体調が気にはなるが、ここは下手に刺激しないようにスルーしておく。
敢えて、席を香織の正面ではなく斜めに向かいにしたのも『最大の切り札』の威力を発揮させるためだ。
視界ギリギリに香織を収めながら、のんびりお茶を啜りだす。
料理は多分、軽めのコースかな。
今日は俺が動かなくても、勝手にことは進むしな――――。
そんなことを考えている俺の横で、辻さんが興奮気味に話しだした。
