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不器用なタッシュ

第14章 発動

「今回の提案……元々は、須永くんが今度イタリアに拠点を置くのでアイディア的に言って来たんですが、これがまた上手く言ったらヨーロッパ進出に繋げて行けるかと思いまして!」


「それは何か凄いですね」


「お昼なんですが、一杯だけ軽く乾杯しませんか!」


「あら! まあ、一杯くらいなら……ねぇ渡辺さん! お酒強いしね~」


目の前にイタリアが見えているかのように熱っぽい目で空を見つめながら語る辻さんに、香織の上司の井関さんも引っ張られるようにノリが良くなってくる。


この勢いのままイタリア進出の話を進めるためにも、井関さんの賛同は得ておきたい。


ここは大いに辻さんに頑張って頂こうじゃないか。


ほくそ笑んでしまいそうなのポーカーフェイスで誤魔化しつつ、視線を香織にむけると何かソワソワしていて様子がおかしい。


俺への警戒心と、はまた違って見えた。

――――香織?


「あっ……体調悪いので、私は……え~とグレープフルーツジュースでお願いします!」


香織は、体調不良を理由にアルコールを断ってきた。


貧血だからか?

――――もしかして?


瞬間体中に、あの日の快感が一気に込み上がってきた――――。

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