
不器用なタッシュ
第14章 発動
「そこの取引先に経歴や実績を伝えたら、カッティングさんとのプロジェクトの事に興味を持たれまして」
「あぁ!」
「えっ……」
カッティングが関わってくると、井関さんと香織の反応は如実に変わる。
驚きを露わにしている井関さんより、香織の表情が曇りだす。
そんなことを気付く訳がない辻さんは、後押しするように用件を一気に話し出した。
「是非、同じプロジェクトのイタリア版的なのを試みてみたいと言われまして! 御社から研究員を派遣して欲しいと打診が来たんです! で、白羽の矢を渡辺さんにと思いまして!」
「渡辺をイタリア研究員にと言うことですか!?」
「はい!」
「渡辺さん……イタリアに行きたがっていましたよね?」
今回の趣旨を井関さんが明確に口にした瞬間、確約でも貰ったみたいに辻さんは物凄い勢いで返事を返した。
そして俺は、香織が選ばれたことが香織自身の意思でもあることを念押しするが、突然の大きなプロジェクトと人事問題が関わることだけに、井関さんは神妙な面持ちになっている。
「確かに……この話しが進んで成功したら、我社にも凄い収益や功績になりますが……ここまでの内容は社長が承認しないと」
「大丈夫です! 全面的に協力します!」
井関さんの言う通り、ここで話が進んでも会社の上層部が承認しなければ決まらない。
でも今回の話は、カッティングも食いつくと踏んでいるし、一番の目的は香織をイタリアへ連れていくことだ。
取り合えず、下見だけでもいい。
香織とあいつを引き離せれば――――。
想像しただけで愉快な気分になってきて、口端が自然と上がった。
「あぁ!」
「えっ……」
カッティングが関わってくると、井関さんと香織の反応は如実に変わる。
驚きを露わにしている井関さんより、香織の表情が曇りだす。
そんなことを気付く訳がない辻さんは、後押しするように用件を一気に話し出した。
「是非、同じプロジェクトのイタリア版的なのを試みてみたいと言われまして! 御社から研究員を派遣して欲しいと打診が来たんです! で、白羽の矢を渡辺さんにと思いまして!」
「渡辺をイタリア研究員にと言うことですか!?」
「はい!」
「渡辺さん……イタリアに行きたがっていましたよね?」
今回の趣旨を井関さんが明確に口にした瞬間、確約でも貰ったみたいに辻さんは物凄い勢いで返事を返した。
そして俺は、香織が選ばれたことが香織自身の意思でもあることを念押しするが、突然の大きなプロジェクトと人事問題が関わることだけに、井関さんは神妙な面持ちになっている。
「確かに……この話しが進んで成功したら、我社にも凄い収益や功績になりますが……ここまでの内容は社長が承認しないと」
「大丈夫です! 全面的に協力します!」
井関さんの言う通り、ここで話が進んでも会社の上層部が承認しなければ決まらない。
でも今回の話は、カッティングも食いつくと踏んでいるし、一番の目的は香織をイタリアへ連れていくことだ。
取り合えず、下見だけでもいい。
香織とあいつを引き離せれば――――。
想像しただけで愉快な気分になってきて、口端が自然と上がった。
