
不器用なタッシュ
第18章 旅立ち
情に脆いやつだな――――だから俺なんかに良いように使われるんだよ。
自分がしてきたことなのに、酷い言い草だよな――――。
「どうした?」
何か言いたそうな安岡の言葉を待った。
「嘉之。お前、本当に頑張ってたよ。俺は認めるよ。香織ちゃんのことだって、すっごく大好きだったのも俺は分かってたから……」
「ちょ、安岡……こんなところで、何言ってんだよ」
男同士のお涙頂戴なシチュエーションに、通りすがりの奴らに興味深げに視線を向けられて恥ずかしい。
だけど安岡は、そんなことも気にせずに叫び続ける。
「嘉之、だから……自分の才能に情熱に、自信を持てよっ!」
「……自信」
「そして今度こそ、大事な人が現れたら、ちゃんと『好き』だって言うんだぞ! 絶対に言うんだぞ! 傷つくことなんか怖がるな! 大事なもの失う方が怖いだろ! その痛みをお前は知っているんだから!」
「安……」
「絶対に『好き』って言えよ!」
俺のためなんかに公衆の面前で男泣きまでして言ってくれた安岡に、俺は口元を歪めて軽く手を上げることしか出来なかった――――。
自分がしてきたことなのに、酷い言い草だよな――――。
「どうした?」
何か言いたそうな安岡の言葉を待った。
「嘉之。お前、本当に頑張ってたよ。俺は認めるよ。香織ちゃんのことだって、すっごく大好きだったのも俺は分かってたから……」
「ちょ、安岡……こんなところで、何言ってんだよ」
男同士のお涙頂戴なシチュエーションに、通りすがりの奴らに興味深げに視線を向けられて恥ずかしい。
だけど安岡は、そんなことも気にせずに叫び続ける。
「嘉之、だから……自分の才能に情熱に、自信を持てよっ!」
「……自信」
「そして今度こそ、大事な人が現れたら、ちゃんと『好き』だって言うんだぞ! 絶対に言うんだぞ! 傷つくことなんか怖がるな! 大事なもの失う方が怖いだろ! その痛みをお前は知っているんだから!」
「安……」
「絶対に『好き』って言えよ!」
俺のためなんかに公衆の面前で男泣きまでして言ってくれた安岡に、俺は口元を歪めて軽く手を上げることしか出来なかった――――。
