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不器用なタッシュ

第4章 シエロ

近くのコンビニから戻ってくると、安岡が


「あの子…一枚一枚真剣に見てるんだよね~!凄い気になるから声掛けてくる!」


安岡は、絵に対して真面目そうな人には、積極的に声掛けをしてくれていた。


本当に、マメな奴だな。 


「因みにお知らせ欲しかったみたいだから、来場名簿にさっき記入して貰ってるから!」


張り切って俺に伝えて、その子の所に寄って行った。


「名簿ね…。」


直近で書かれてた名前は…


「渡辺…香織。これかな?」


安岡の方を見ると、何か盛り上がってる…あっ、一緒にこっち来るし!


「あっ!いたいた!嘉之~!この子、シエロ気に入ったんだって!ポストカードあげなよ!」


「ふ~ん。分かった…。」


シエロか…


『Cielo verde』


緑の空。


グリーン系の絵の具で、塗りたくったのを空と雲に見たてた。


色使いかな…画法かな…。


渡辺香織は、緊張した面持ちで俺の前に立ち。


「は、は、初めましてっ!」


声が上ずって、頬が少し赤い。


繰り返されて身に付いた直感…

俺に気があるよな…この子。
 

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