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牡牛座【完】

第1章 1


「ゼウスって知ってる?」

「うん。一応は」

「ゼウスは恋多き神だったの」

「? ……」

「ヘラという正妻がいたのに、ね」


そう一区切りしてこちらを見るきみの目は、嫌悪ーーそして嫉妬が含まれていた。


「ゼウスは雲間からエウロパという美しい娘に恋をするの」

「……奥さんいたのに?」

「そ。最低よね」

「た、確かに。私ならかなり嫉妬する」

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