
あなたがいてくれたから。
第43章 君にヤラレタ☆
(翌日)
今日も撮影が進んでいる。斗真くんからは、
鋭い長文メールが何通も。
今日も撮影だろ?
頑張れっ!
なんか変な事されることがあったらすぐに言えよ?特に一ノ瀬紘とかなっ!
とにかくファイティンッ!
これが最後の一文。
っ・・・。
もう、なんでこんなに鋭いのかなぁ・・・。
でも、このメールのおかげで
少し気持ちが落ち着いた。
そしたら案の定
噂の一ノ瀬さんに呼ばれた。
「は、はい!」
「松本さん・・・#7のところで変更があるらしい。田中さんが呼んでたよ。」
「ぁ!ホントですか!じゃあ聞きに行ってきます」
すぐにでもここを立ち去りたかったから
笑顔を保ちつつ、私は駈け出そうとしたら
「・・・っ!?」
一ノ瀬さんがあたしの手を強く握った。
「あ、あの・・・?」
「フられてんのに・・ごめん。
裕貴が演じられないんだ。君のことをみゆじゃなくて君として演技しちゃうんだ・・・・。ホントにホント好きなんだ・・・。」
一ノ瀬さんの
セツナイ声が楽屋に響く。
なんか、あたしまで切ない気持ちになってくる・・・。
