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身代わり妹

第5章 揺心

眉間に皺を寄せ、姉を見つめる凌太。


「美優、今夜合コンなんだって。ほら、服装がいつもより気合い入ってるでしょ?」


姉の言葉を受け、凌太の視線が私に返ってくる。




「……とりあえず、冷やさないと」


有無を言わさず、

凌太に手を引かれナースステーションへと連れて来られた。

小さな保冷剤にタオルを巻いて渡される。


「ありがとう」

今だジンジンと痛む頬にそれを当てる。

冷たくて気持ちいい。

痛みが引いていく気がした。



「合コンて……?」

「あのっ…花純ちゃんに誘われてっ…そのっ…人数合わせに……」


何も言わない凌太。

何で必死に言い訳してるんだろ。

凌太にとってはどうでもいいことなのに……。


「仕事行きますね。姉の事よろしくお願いします」



今日は姉の誕生日。

凌太はあの指輪を渡すのだろう。


涙が出る前に…私は慌てて立ち上がった。


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