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身代わり妹

第5章 揺心

”何で?”

奏佑くんに聞かれてから、ずっとずっと心に引っ掛かっている。


「何で、お母さんは働かないの?」


─────バチンッ

右頬がジンジンと熱くて痛い。

叩かれた右頬を抑え、

叩いた右手を左手で押さえる母を睨み返した。



「何だその目は⁈ 役立たずが‼︎ 親孝行して当たり前だろが‼︎」


ガラッ

最悪のタイミングで、凌太が病室に入ってきた。


「美優?」

病室内の異様な空気を察したのか、凌太は私に駆け寄る。


「美優? どうした?」

「……なんでもない」


心配顔の凌太に顔を覗き込まれる。

赤く腫れた頬を押さえ、涙を堪える顔を見られたくなくて、私は俯いた。


「そのまま受付には座れないだろ。すぐ冷やさないと…」


「あーあ、せっかく今夜の合コンでいい男GETしようとしてたのにね?」

凌太の言葉を遮るように、姉が大きな声で言った。


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