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身代わり妹

第8章 本心

「美優はいないんだ。茶番は必要ない」

痛いくらいキツく俺の腕に縋る美姫を引き剥がしながら、俺はため息交じりに言った。


「本当だよ?…… 本気なの」

「…………」

「美姫はっ…凌太が……本気で…好きなの……っ初恋なの」


あーもー!

美姫の目的がわからない。


だからどうしろって言うんだよ?

俺のこれから先すら自分に縛ろうとするのか?


「恋に恋してるだけだろ」

初恋なんてそんなもんだ。

まして人生のほとんどを病室で過ごた美姫には、恋をする機会さえなかったんだから。


「違う!」

「美優への当てつけだろ」

「違うよ!」


必死に首を振り、涙をポロポロと零す美姫。

その姿を見ても、正直もう同情さえ出来ない。


やってる事がメチャクチャだろ?

命を捨ててまでも、美優を苦しめたいのかよ?


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