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身代わり妹

第9章 再会

「ただいま戻りましたぁ」

旅館の裏口から中へ入る。


「美優、おかえり」

旅館で働く人たちが次々と声を掛けてくれる。


気さくで優しい人ばかり。

突然やって来た私に、とてもよくしてくれる。


私は本当に恵まれていると、改めて思う。


(この子のためにも働かなきゃ)

午前中はお休みをもらっていたけれど、

忙しそうな皆を見て、私も仕事着へと着替える。



「あれ? 美優! 午前中はお休みじゃなかった?」

仲居頭の笹野さんがシフト表と私を見比べている。


「いえ、もう用事は済みましたから」

そう言って掃除用具を片手に立ち上がる。



─────クラッ


立ちくらみ?

目の前が一瞬暗くなり、そのまましゃがみこむ。


「美優! また無理して! あんたの悪い癖だよ、全く」

笹野さんの大きな声に、女将さんが駆け寄ってきた。


「美優、無理しなくていいから。部屋で少し横になってなさい」

女将さんにそう言われ、私は仕方なく部屋へと戻った。



(ごめんね、無理は禁物だよね)

お腹をさすりながら苦笑いする。


どことなく女将さんと由美さんは似てる。


─────会いたいな……。




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