テキストサイズ

身代わり妹

第9章 再会

布団に横になっているのに、目眩の時のように目の前が暗くなっていく。

目を閉じれば、身体がグルグルと回っているような感覚に襲われた。


(ヤバイ…本当にヤバイかも……)


不安に駆られれば、最悪な事に息苦しさと胸の痛みが始まる。

こんな時に発作まで起きたら…

恐怖が込み上げてくる。


もし…

もし私が死んだら……赤ちゃんはどうなるの⁉︎


無事産める?

産んだ後は?

ちゃんと、育てられる?


姉と同じ病気かもしれない…

凌太にそう言われた時、ちゃんと検査すればよかった。

変な意地張らないで、後払いになったとしても入院するべきだった?



(やだ…誰か……)

布団の脇の携帯を必死に手繰り寄せ、暗記する程よく掛けていた番号を回す。

手が震え、耳に当てている携帯がガツガツと顔に当たる。

耳鳴りがして、呼び出し音が遠くに聞こえる。



『もしもし?』

知らない番号からの電話に、警戒しているような声が返って来る。

話したいのに声が出せない。

口をパクパクさせながら、必死に言葉を紡ぎ出そうとする。


『……美優?』


電話口の優しい声。

頼っちゃいけないってわかってるのに…

全ては幻で、私は愛されてなんかいなかった……

だから私は姿を消すんだって決めてたのに─────…‼︎


「りょ…た……たす……けて……」

それなのに、限界だった私が頼った先…電話をした先は”凌太”だった。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ