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身代わり妹

第10章 新心

「美優、これ……」

父は私にiPadを差し出す。

今年の姉の誕生日に、母が買ったものだろう。


「メール、見てみて」

父に言われ、恐る恐るメールを開く。



受信メールのほとんどは凌太から姉へのメールだった。

”わかった”

”そうだな”

そんな単調なメールばかり。

それでも凌太からのメールは大事そうに保護されている。


そして、

「あ……これって……」


送信メールのボックスには、見覚えのあるメールアドレス。

私の、昔のアドレスだ。



ずらずらと並ぶ、私の昔のアドレスへの送信エラーメール。



”何処にいる⁈ 心臓をよこせ!”

”移植出来ないってどういうつもり⁉︎ 約束が違う!”


最初の何通かは、私への恨み辛みが書き殴られていた。


”苦しい。このままじゃ本当に死んじゃう。お願い、助けて!”

だが、だんだんと姉のメールに弱音が出始める。


”罰が当たったんだ。散々美優を困らせたから。美優と凌太を引き離したから。でも死ぬのは嫌なの。お願い、助けて”

姉からの悲痛なメールに、私の目から涙が零れ落ちた。


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