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身代わり妹

第11章 疑心

「……立派なお屋敷ね」


リビングに通すと、母はグルグルと周りを見回し、ため息交じりにそう言った。


「私の実家なんて、このリビングに収まっちゃうわね」

母が笑うから、私もつられて笑っていた。


母と笑い合うなんて、初めての事だ。

嬉しくて、私は泣きそうになっていた。



「美優の部屋は?」


ドキッ

心臓が飛び跳ねる。


これ以上はダメ…

まだそこまで信用出来ない。

部屋になんて絶対入れちゃダメだ。



「……凌太の…部屋に、一緒に……」


仲良しねと言った母の目は、見たこともない程に優しくて…

こんな優しい目を向けられた事なんて一度もない。


ねぇ、凌太…

どうしよう?

どうしたらいいの?



「見たいな」

俯いた私の髪を、母は優しく撫でた。


「無理……」

首を振りながらも、優しく髪を撫でる母に身を任せ、目を閉じる。



「もう二度とこの家に入れてくれないんでしょ? 最後に美優の生活が見ておきたいの」


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