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身代わり妹

第11章 疑心

私と母は、

私と凌太の寝室に居た。



「意外とシンプルね」

モノトーンで統一された部屋。

ベッドに勉強机、クローゼット……凌太が1人で使っていた時とあまり変わらない。


「凌太1人の時はもっとシンプルだったんだよ」

それでも、

ドレッサーや、今母と座る小さなガラステーブルなど私のものも増えている。



「こっちにお茶運ぶね」

一旦キッチンへ戻った私は、リビングに置き去りにしていたお茶を淹れ直す。

先程父がくれたお菓子を菓子盆に乗せ、母のいる寝室へと運ぶ。


嬉しくて、楽しくて、

でもなんだか緊張しちゃって、

ふわふわと、足が地に付かない感じ。



ついニヤけてしまう頬を引き締め、私は母の待つ寝室へお茶とお菓子を運ぶ。

そして───、

まるで昔から仲良しだったかのように、

わだかまりもなく、私と母はいろいろな話をした。


エコー画像に笑顔の母。

かわいいかわいいを連発している。


「こんなに早くおばあちゃんになると思わなかったな。嬉しい。すごく楽しみよ」


母の笑顔が嬉しい。

それだけでまるで親孝行出来たかのような気持ちになる。


「私が美姫ちゃんを妊娠した時は……」

母も嬉しそうに昔話をしてくれる。



これでもう普通の親子みたいに笑い合える。

これからは母に怯えず、こうやって仲良くやっていける。


本当に心の底から幸せだと思えた。


母は変わってくれた‼︎

─────そう思ってた。



本気で、

本当に、母を…信じていた─────…


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