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身代わり妹

第11章 疑心

「失礼だよな、夏実さん! 笑い過ぎだっての」


待合室のソファーに座り、凌太が小声で文句を言う。

しかも、私じゃなくて、お腹の赤ちゃんに。

ホント親バカ……。



「無事大きくなっててよかったな」

そう言う凌太の笑顔は優しい。

もうすっかりいいパパの顔してる。


ポコっ

「ん⁉︎ 」


お腹をさする凌太の手に合わせるように、胎動が返ってくる。


ポコポコっ


「う、動いたぁ─────っ‼︎ 」

ピョコンと立ち上がる程の大声で凌太が叫んだ。



「凌太っ、声大きい!」

初めて胎動を感じた親バカ凌太の感動はわかる気もするけど、待合室にはたくさんの人で溢れてるのに恥ずかしいよ。



「……すみません……」

顔を赤くして私の隣に小さくなって座った凌太。


毎回検診に着いてきてくれるから、凌太の親バカはちょっと有名。

病院のスタッフはもちろん、待合室の妊婦さんたちもクスクスと笑っていた。


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