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身代わり妹

第11章 疑心

今日は、凌太と二人で大学病院へ検査結果を聞きに来ていた。

診察室に入り、先生を前にすると身体が小さく震え出す。


怖い……。

姉と同じ病気だったらどうしよう。


死ぬのは嫌だ。

赤ちゃんを諦めるのも…絶対に嫌だ……。



「美優……」

私の震えに気付いた凌太が、私の手をそっと握ってくれる。

その優しい瞳に、少しだけ心が落ち着いた気がした。



「発作はやはり病気の為でしょう。酷くなっていた頃には既に発症していた」

先生の言葉は残酷だ。

一番聞きたくなかった言葉を紡ぎ出した。


「そんなっ……」

絶望感に支配された頭では、次の言葉が出てこない。


「妊娠の継続は⁈ 」

凌太の言葉にハッとする。


「え⁉︎ 嫌だ! 赤ちゃんは諦めたくないっ」

隣に座る凌太にしがみつく。


嫌だよ……。

赤ちゃんは絶対に諦めたくない。


命と引き換えでも構わない。

─────産みたい‼︎



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