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身代わり妹

第11章 疑心

「先生っ、出産まででいいから私の身体をもたせて下さいっ‼︎ 」

「美優‼︎ 俺は絶対どっちかなんて選べないから!」


私も凌太も一歩も引かない。


私が凌太の立場なら相当苦しいと思う。

どっちかなんて選べない。それはわかるよ。


でも、だからこそ、赤ちゃんを産みたいの‼︎



「落ち着いて!」

先生の声に、お互い我に返る。


いつの間にか凌太と睨み合いになってた。

お互いがお互いの事を想った結果なのに、

それで喧嘩なんて悲しいよね……。



「すみません……。美優、ごめん」

凌太が先生に頭を下げ、私に苦笑いを見せる。


「私こそ…ごめんなさい……」

私も2人に頭を下げた。



「最後に発作を起こしたのは?」


─────最後…?

記憶を辿る。

それほどまでに最近では発作を起こしていなかった。


「美優がこっちに帰ってきた日だよな?」

あ…そうだ……。

旅館で倒れて凌太に電話したあの日……。


「あ、その後、入院中にも一度……」

先生は私と凌太の話をカルテに書き取っていった。



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