
身代わり妹
第11章 疑心
「病院戻らないと……美優もこのまま帰るだろ?」
報告がてらの電話を終えた凌太が、お会計を終えた私の元へ戻ってくる。
「うん……あの…私だけ途中で降ろしてくれる?」
「ん? どこか寄る?」
「うん、お姉ちゃんの……お墓参り」
どうしても病院へ戻らないといけない凌太には、別の日にしろって言われたけれど、
どうしても今すぐ行きたくて、姉の魂の眠るお寺で降ろしてもらう。
緩やかな坂道を登った所にある真新しい墓石。
病院からの景色しか知らない姉の為に、父はこの街の四季の移り変わりが見える小高い山の上に姉のお墓を建ててくれていた。
桜色から新緑へと移るこの街を、姉はここから見ているのだろうか。
(お姉ちゃん、ありがとう)
病気の事、そしてその病気が消えていた事を墓前に報告する。
いがみ合っていた時間が勿体無い。
でも、その時間すら懐かしい。
(お姉ちゃんのおかげで、無事に凌太との赤ちゃんを産める。本当に本当にありがとう)
また来るね、そう墓前に語りかけて歩き出す。
「─────…っ‼︎ 」
小石に躓き、身体が前のめりに倒れかけた。
(嘘っ⁉︎ )
このまま転べばお腹を打ってしまう!
スローモーションのように景色は流れるのに、どうする事も出来なくてギュッと目を瞑った。
報告がてらの電話を終えた凌太が、お会計を終えた私の元へ戻ってくる。
「うん……あの…私だけ途中で降ろしてくれる?」
「ん? どこか寄る?」
「うん、お姉ちゃんの……お墓参り」
どうしても病院へ戻らないといけない凌太には、別の日にしろって言われたけれど、
どうしても今すぐ行きたくて、姉の魂の眠るお寺で降ろしてもらう。
緩やかな坂道を登った所にある真新しい墓石。
病院からの景色しか知らない姉の為に、父はこの街の四季の移り変わりが見える小高い山の上に姉のお墓を建ててくれていた。
桜色から新緑へと移るこの街を、姉はここから見ているのだろうか。
(お姉ちゃん、ありがとう)
病気の事、そしてその病気が消えていた事を墓前に報告する。
いがみ合っていた時間が勿体無い。
でも、その時間すら懐かしい。
(お姉ちゃんのおかげで、無事に凌太との赤ちゃんを産める。本当に本当にありがとう)
また来るね、そう墓前に語りかけて歩き出す。
「─────…っ‼︎ 」
小石に躓き、身体が前のめりに倒れかけた。
(嘘っ⁉︎ )
このまま転べばお腹を打ってしまう!
スローモーションのように景色は流れるのに、どうする事も出来なくてギュッと目を瞑った。
