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身代わり妹

第11章 疑心

「うーん……秋村先生の前で言うのもなんというか……」


いつもハキハキしている先生のなんだかすっきりしない話し方。

私と凌太は顔を見合わせる。


「あー、いや……信じられないかもしれませんが……という私も信じられないのですが……」

「え?」


なんだろう……。

不安のような期待のような……。

胸がすごく苦しい。



「何ですか?」

私の手を握る凌太の手に力が篭る。

私もその手をキツく握り返した。



「実は……

消えてるんです、病気が……」



「……は?」

そう言ったきり固まる凌太。

私だって頭の整理がついていかない。


消える?

病気が?

そんな事って……?



─────あ!


iPadに残された姉の言葉を思い出す。


”ごめんね。美優を苦しめ続けてごめんね。

こんな病気に苦しむのは私だけでいい。

私が死ぬ時は、美優の病気も一緒に持って行ってあげるから。”



「…お姉ちゃんが…持って行ってくれたんだ……」


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