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身代わり妹

第12章 新人

「疲れた?」

自販機横のベンチに座る私に、凌太がペットボトルのお茶を渡してくれる。


「ありがと。少し休めば平気。凌太は由美さんに呼ばれてるでしょ? 先に行ってて」



お会計を終えた由美さんは、ベビーベッドを見るからとベビー用品のお店へ向かった。

荷物係にと凌太も呼ばれている。



「うーん……ベッドを車に運んだらすぐ戻る」

目を細めて私のお腹を撫でた後、凌太は由美さんの後を追った。





「美優?」

懐かしい声に顔を上げる。



「お母さん……」

満面の笑みで私を見つめる母。


いつか通帳を持ち逃げされて以来だ。

懐かしいという気持ちや怒りよりも、その笑顔に戸惑う気持ちの方が大きい。



「お腹大きくなったわね」

私の隣に座った母は、そっとお腹に手を伸ばす。

思わず身構えてしまった私に気付く様子もなく、母は私のお腹を撫でた。


直前まで痛いくらいに感じた胎動がピタッと止まる。

(……私の緊張や不安が伝わったのかな)

お腹の中の小さなわが子に心配されたようで肩を竦めた。


だけど、おかげで気持ちに余裕が出来た。


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