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身代わり妹

第2章 嫉妬

私は立ち上がり、カルテを保管している後ろの棚へと移動した。


一番上の棚にカルテを入れようと背伸びをする。

そこへ、サッと手が伸びてきて、入れようとしていたカルテの背を押してくれる。


「凌太?」

診察もひと段落しているのか、カルテの棚の所に凌太が立っていた。

少し不機嫌な表情の凌太を見つめて小さく首を傾げる。


「美優、夜にまたって……?」

「え?」

相変わらずの不機嫌な顔で発した凌太の言葉。

更に首を傾げ、一瞬考えを巡らせる。


(─────あ!)

さっきの大山さんとの会話…聞かれてた⁉︎

一気に血の気が引く。


(どうしよう、副業禁止なのに……)

上手い言い訳が思い浮かばず、凌太を見つめたまま固まっていた。

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