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身代わり妹

第15章 【最終章】幸福

「それでも……美優のお母さんだから……本当に困ってたら助けてやろう?」

凌太からの意外な言葉に、驚いて顔を上げた。


「……そんな事したら、またお金の無心に来るよ」

私の言葉に、それは困るなと凌太は苦笑いする。


「でも……美優を産んでくれた人だから」


凌太の唇が、そっと私の唇に触れた。


「寂しい老後にならないようにさ、優太と凛のばあばにまた会いに行こう」



「でも、凛がっ……」


泣き叫ぶ凛の声が頭の中に響く。

自分の母親の筈なのに、相手は大人の筈なのに、話が全く通じなかった。


あの瞬間の焦りと恐怖を思い出し、身震いする。



「会わなくなってたった3年だよ? 美姫が死んでたった4年。何十年もの生き方はそんな簡単には変わらないって」


フッと凌太が優しく笑うから、気付けば私は頷いていた。


「少しずつお義母さんの時間を動かしてやれば、美姫と凛が離れて行くよ」

今すぐなんて焦らずに、時間を掛けて頑張らなければいけない話だ。


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