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身代わり妹

第16章 【プレゼント】第一章・宝物

「きゃぁっ⁉︎ ちょっと凌太、降ろして‼︎ 」
凌太の腕の中でバタバタと暴れる私。

「りんのパパぁ〜‼︎ 」
凛は泣きながら凌太の足元へしがみつく。

「女を泣かせる悪いやつ! 覚悟しろ」
優太は変身ドライバーを響かせ、変身ポーズを取っている。


賑やかな日常。

幸せな日々。

子供の頃から憧れた家族の温かさを、凌太が私にくれたんだ。


「美優、こうちゃんお腹空いたみたい」

由美さんの言葉に、凌太が慌てて私を床へ降ろした。

由美さんの腕の中で泣いているのは、6月に生まれたばかりの次男 煌太。

”俺の家系は、男は代々”太”のつく名前なんだ”という凌太が考えた名前。


「いいこいいこ」

さっきまで泣いていた凛が、煌太に急いで駆け寄りその頭を撫でている。

煌太の前では、凛は面倒見のいい”お姉さん”だ。


そんな凛の誕生日プレゼントは、お世話が出来るお人形。
お人形用の哺乳瓶を持ってきて、煌太の口へ入れている。

「のんでるねぇ」

反射的にお人形用の哺乳瓶を吸い始めた煌太を、凛は満足げな顔をして見つめていた。

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