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身代わり妹

第16章 【プレゼント】第一章・宝物

─────あの日……


「美姫ちゃん! 美姫ちゃん!」

歩いてきた母に凛がぶつかり、母は凛をギューギューと抱きしめた。

姉の名前を…呼びながら……。


「お母さん! その子はお姉ちゃんじゃない!」

「美姫ちゃんだ! 美姫ちゃんの生まれ変わりだ!」

私の言葉なんて母には届かない。


「お願いよ、美優。美姫ちゃんと暮らさせて! 美姫ちゃんを私に頂戴!」


─────頂戴?

……凛はものじゃない。

そんな簡単な事すら母にはわからない。



「お母さん…凛をお姉ちゃんの身代わりにしないで……お姉ちゃんは…もう死んだのよ?」

母を押し退け、凛を抱き寄せる。


「縁起でもない事言うなぁっ‼︎ 」

母の目がカッと見開き立ち上がったのが見えた。同時に私の頬に鋭い痛みが走る。


「…っ……この子はお姉ちゃんじゃない。秋村 凛……私と凌太の娘だよ‼︎ 」

母に叩かれた頬を押さえ、涙が浮かぶ目で母を睨んだ。


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