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身代わり妹

第2章 嫉妬

「あ! 美優先輩っ、すみませんでした!」

受付に戻れば、花純ちゃんが私に気付きペコッと頭を下げる。


「大丈夫。大山さんにちゃんと渡せたよ」

私の言葉に、花純ちゃんが安心した笑顔を向ける。


「私こそ遅くなっちゃってごめんね」

席に座り、溜まった仕事を片付け始める。


「また発作ですか? 今日は空いてるからもう少し休んできてもよかったのに」

花純ちゃんが私に体を寄せて、小さな声でそう言った。


最近、発作が頻繁に起こる。

トイレや休憩室でしばらく休めば治まるけれど、その度に花純ちゃんを1人にしてしまい本当に申し訳ない。

それなのに嫌な顔もせず、こうして心配してくれる花純ちゃんは本当にいい子だと思う。


「いつも迷惑ばかりかけてごめんね」

今回は発作ではないけれど、いくら花純ちゃんでも本当の事は言えず、発作のせいにして謝る。


「私の方こそいろいろ迷惑かけてすみません」

花純ちゃんまで謝る必要ないのに……。


「じゃあ、お互い様って事で許してね」

「はいっ、これからの迷惑も許して下さいね」


無邪気に笑う花純ちゃんに、冷えた心が少しだけ温められた気がした。



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