素直になれるか?
第1章 こんなはずじゃ…
行かない。
課長の家になんて行けない。
そう何度も何度も何度も頭の中で繰り返してるのに、俺の足は勝手に歩を進めている。
課長の家に向かって。
ダメだって。
課長の家に行って、最終宣告を受けて、そのままただ帰ってくるなんて自分が想像できない。
あの人がプライベートで目の前にいる状況に、耐えられる自信なんて…
フられてやけになって、押し倒してる自分はやたら容易に想像できるんだぜ。
やばいって。
ダメだって。
引き返せ。
まだ間に合う。
犯罪者にはなりたくないだろ?
課長を泣かせたくないだろ?
そのまま自分の家に帰れって。
もう一人の自分が、散々怒鳴っているのだが。
俺の足は淀みなく前進して、課長のマンションの前まで俺を連れてきていた。
どうせ手に入らないものなら、ぐちゃぐちゃにしてしまえばいい。
俺をこんなにも期待させた課長が悪い。
エントランスのナンバーキーに課長の部屋番号を打ち込み、大きく息を吸い込んだ。
わかってる。
結局俺は、課長に何もできないまま帰ってくるんだ。
サヨナラとゴメンの言葉を貰って。
既に泣きそうだ。
「加瀬宮です」
マイクに向かって名前を告げ、唇を噛み締めた。
「ああ。うん。602だ」
課長の声は、震えていた。
課長の家になんて行けない。
そう何度も何度も何度も頭の中で繰り返してるのに、俺の足は勝手に歩を進めている。
課長の家に向かって。
ダメだって。
課長の家に行って、最終宣告を受けて、そのままただ帰ってくるなんて自分が想像できない。
あの人がプライベートで目の前にいる状況に、耐えられる自信なんて…
フられてやけになって、押し倒してる自分はやたら容易に想像できるんだぜ。
やばいって。
ダメだって。
引き返せ。
まだ間に合う。
犯罪者にはなりたくないだろ?
課長を泣かせたくないだろ?
そのまま自分の家に帰れって。
もう一人の自分が、散々怒鳴っているのだが。
俺の足は淀みなく前進して、課長のマンションの前まで俺を連れてきていた。
どうせ手に入らないものなら、ぐちゃぐちゃにしてしまえばいい。
俺をこんなにも期待させた課長が悪い。
エントランスのナンバーキーに課長の部屋番号を打ち込み、大きく息を吸い込んだ。
わかってる。
結局俺は、課長に何もできないまま帰ってくるんだ。
サヨナラとゴメンの言葉を貰って。
既に泣きそうだ。
「加瀬宮です」
マイクに向かって名前を告げ、唇を噛み締めた。
「ああ。うん。602だ」
課長の声は、震えていた。