素直になれるか?
第1章 こんなはずじゃ…
ここに来るのは、二度目かな?
玄関からリビングに通されて、ソファに身体を沈めた。
膝が微かに震えてるのは。
怖いから。
目の前の、好きで、好きすぎて、どうしようもない人からの別離の言葉が。
怖くてたまらない。
センターテーブルの向こう側に、所在無げに腰をおろした課長の視線は、やっぱり俺を避けている。
しんと重苦しい沈黙が、部屋に立ち込めて、どう切り出していいのか迷っている二人をさらに寡黙にさせて行くようだ。
「あの…内海、課長」
沈黙を押しのけるように、俺は言葉と視線を愛しい人に投げかけた。
「加瀬宮。本当に悪かった」
顔を上げた課長と目が合って。
「足。まだ痛むのか?」
切ない課長の表情に、先に視線を逸らしたのは俺。
失いたくない、と強く思った。
この先の言葉を聞きたくない。
ここに来てしまったことを、心から後悔した。
「痛みはもう殆どないです。たまに力が入らなくてコケることはありますけど」
頭の中はイヤだという言葉でいっぱいだった。
好きだと言ってくれた。
恋人になれたと思った。
好きでいていいんだと思ってた。
なのに。
なのに!
「加瀬宮。昼間の、質問の答え…」
「やっぱり聞きたくない!」
課長の言葉を遮って、俺は怒鳴っていた。
曖昧なままでいい。
宙ぶらりんでいい。
決定的な言葉を聞きたくない。
妄想だけであんたに触れるんでいい。
「やっぱり俺帰ります。すみません!」
立ち上がり、逃げるように玄関に身体を向けた時。
玄関からリビングに通されて、ソファに身体を沈めた。
膝が微かに震えてるのは。
怖いから。
目の前の、好きで、好きすぎて、どうしようもない人からの別離の言葉が。
怖くてたまらない。
センターテーブルの向こう側に、所在無げに腰をおろした課長の視線は、やっぱり俺を避けている。
しんと重苦しい沈黙が、部屋に立ち込めて、どう切り出していいのか迷っている二人をさらに寡黙にさせて行くようだ。
「あの…内海、課長」
沈黙を押しのけるように、俺は言葉と視線を愛しい人に投げかけた。
「加瀬宮。本当に悪かった」
顔を上げた課長と目が合って。
「足。まだ痛むのか?」
切ない課長の表情に、先に視線を逸らしたのは俺。
失いたくない、と強く思った。
この先の言葉を聞きたくない。
ここに来てしまったことを、心から後悔した。
「痛みはもう殆どないです。たまに力が入らなくてコケることはありますけど」
頭の中はイヤだという言葉でいっぱいだった。
好きだと言ってくれた。
恋人になれたと思った。
好きでいていいんだと思ってた。
なのに。
なのに!
「加瀬宮。昼間の、質問の答え…」
「やっぱり聞きたくない!」
課長の言葉を遮って、俺は怒鳴っていた。
曖昧なままでいい。
宙ぶらりんでいい。
決定的な言葉を聞きたくない。
妄想だけであんたに触れるんでいい。
「やっぱり俺帰ります。すみません!」
立ち上がり、逃げるように玄関に身体を向けた時。