テキストサイズ

素直になれるか?

第1章 こんなはずじゃ…

好きだと言った。


好きだと言われた。


そして…キスなんかもしたりした。

これってさ、もう二人は恋人同士だよな?
だって好き同士。
改めて付き合いましょうみたいなやり取りなんかなくても、付き合ってる事になるよな?

えっ。

なんねぇの?!





俺。
加瀬宮 秋。
そこそこ有名食品企業の営業部企画課所属の、期待のエース。
女の子からの黄色い声にも不自由しないくらいには、整った顔と身長を授けてくれた両親に感謝してんだ。

まぁ、ちょっとした勘違い野郎なのかもしれないが、それでもいい。

なんせ今俺は自他共に認めるほど、浮かれているから。


だってあの人に。

あの人が。

あの人と。

想いが通じた。
好きだって言われた。

天地がひっくり返ってもあり得ないと、諦め切ってた俺の想いが。
奇跡が起きた。


内海 一成。
営業部企画課の敏腕課長。
どう見ても学生にしか見えない童顔に、いつも絶えない笑顔が破壊力を倍増させている。
なのにその仕事ぶりは徹底して緻密で隙がない。
企画課なんて今まで営業部の雑用係として認識されていたのを、この人は営業部の枢軸とまで言わしめた。
そのギャップにやられる人は数多い。


かく言う俺もその一人。
この人の右腕になりたいと、本気で思ってた。
それが、この人が欲しいと思うまで時間はかからなかった。

いろいろあったけど、ようやく手に入れた。
俺の課長。


めくるめく恋人の甘い蜜月。



を期待して何が悪い?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ