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素直になれるか?

第1章 こんなはずじゃ…

本当、俺なにやってんだか…。
まだ違和感の抜けない足をトントンと叩き、資料室に牛の歩み。
だって周りは皆プロジェクトのために奔走してるってのに、俺は指定されたレジュメ作成ばかり。
内海課長とも接点がほとんどない毎日を送ってる。

俺の心をこんなに惑わせて…
やっぱり好きじゃなかったと言われるのが怖くて、連絡もできないまま。
モヤモヤが溜まりに溜まって、澱のようにこびりついて離れない。

はぁ…

と、資料室のドアに手をかけた瞬間。

「どぁっっ!」

力も入れてないのにドアが勝手に開いた。
そして、目の前には内海課長…
あまりの驚きに後ずさったその拍子に、治りかけの足に力が入らずその場に崩れ落ちた。

ちょっ。まって。
やめろよ。
そんな顔すんな。なんで泣きそうなんだよ。

内海課長は…
口をぱかっと開けたまま、動かなかった。
廊下に崩れ落ちる俺を見て、顔を歪めて。
それから、痛みに耐えるかのような表情を作って。

そして目を伏せた。

なんでだよ!
そこまで俺を嫌悪しなくてもいいだろ。
好きだって、あんたも言ったくせに。

「加瀬宮…」
呟くような俺に向けた彼の声。
なんだかもう仕事の事とか、思うようにならない自分の身体とか、心とか…
いろんなものがぐるぐる渦を巻いて、体のど真ん中がめちゃくちゃ痛かった。

「課長。俺の事好きですか?」


考えるより先に言葉がこぼれ落ちた。

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