テキストサイズ

彼と僕との記録

第4章 初デートの思い出

ちなみに母親への言い訳はこうでした。
「○○と後、ネットで知り合った友達に会ってくるから、遅くなるかも」
大体こんな感じですね。○○の部分は親友の名前でこれでバッチリ騙されてくれました。
あ、騙すと言ってもネットの友達が男性だってことは言いました。驚いてはいましたが二人で会うと思ってないからかすぐにOKが出たのを覚えてます。
まぁ、この頃は親友にベッタリだった僕ですし、人見知りでもあったので男性と二人で会う訳はないだろうと考えたんだと思います。

そんなやり取りがあってようやく待ち合わせ場所の駅に着くと少し来るのが早かったことに気づきます。
ですが、特にすることもないので駅前のベンチに移動して彼を待つことにしました。

そして、約束の時間になった頃、彼らしい人影を見つけて思わず俯く僕。
そんな僕の隣に無言で座る彼。他人の振りをしたまま数分が過ぎ先に行動したのは彼の方でした。

……彼とは事前に持ってくるものの相談をしていて、その中には漫画家を目指す彼の絵もふくまれてました。

それで、そんな彼が起こした行動は、自分の描いた絵をそっと二人の間にある微妙な隙間のベンチの上に並べるというもした。
ちなみに彼の描いた絵のサイズは手の平くらいで充分、置くスペースはありました。

そう、ここまでは良かったんですが何の悪戯か突風が次の瞬間吹き抜けて、彼の絵を車道へと飛ばしました。
彼が慌てて回収に行き絵は無事でしたが僕はそのときどうすればいいのか分からなくて呆然と見ているだけでした;

ストーリーメニュー

TOPTOPへ