開花
第1章 ―
わたしはやっとのことで家に入ることができました。
お腹も背中も痛くて、流れる涙は止まってくれませんでした。
服が汚れてしまっているのが嫌で、洗面所に向かいワンピースの裾を掴んで一気に脱ぐと、子ども用のブラと一緒に洗濯機の中に投げ込みました。
しかし服を脱いでも、わたしの背中はまだぬるぬるとしていたのです。
そしてやっぱり、なんだか重たい疲れが取れなかったのです。
わたしは片方の手で背中の辺りをなでてみて、ぎょっとしました。
指先に、つぶつぶとしたものが当たったのですもの。
つぶつぶとしたものは、背中じゅういっぱいにあるみたいで、わたしがびっくりしてそこをかきむしると、ぽろぽろと何個かはがれ落ちました。
見ると、床に真っ白いビー玉サイズの球がいくつもいくつも落ちていました。
かがみこんで、まじまじとそれらを眺めてみますと、白い球は半透明で、中心で黒いものがもぞもぞとうごめいていることがわかりました。
黒いもぞもぞは、植物の種のようでした。
わたしは今にも吐き出しそうになってしまって、左手で口元を押さえました。
それが卵であることに気がついたからです。
白い半透明の卵が、わたしの背中に産みつけられていたようなのです。
いったいどうやって!?
どうして服を着ていたのにその内側に!?
わたしは不可思議な現象にきりきりと叫びもだえながら、血が出るぐらいに背中をかきむしりました。
カエルの卵はぽとぽとと床に落ちていきます。
時にはご飯粒のように、ぴったりと指先にくっついてきたので、腕をぶんぶんと振り回したりもしました。
わたしはほとんどの卵が床に落ちるのを確認すると、今すぐにも中から醜い赤茶色のカエルが生まれてくるんじゃないかと思って、右足の平でぷちりぷちりと潰していくことにしました。
そして全ての卵を踏み潰したあと、まずはカエルが産まれるんじゃなくて、オタマジャクシが産まれるんだということを、焦燥の中でぽつんと気づきました。
よくよく考えれば、両生類の変態というのはすごいことだと思います。
お腹も背中も痛くて、流れる涙は止まってくれませんでした。
服が汚れてしまっているのが嫌で、洗面所に向かいワンピースの裾を掴んで一気に脱ぐと、子ども用のブラと一緒に洗濯機の中に投げ込みました。
しかし服を脱いでも、わたしの背中はまだぬるぬるとしていたのです。
そしてやっぱり、なんだか重たい疲れが取れなかったのです。
わたしは片方の手で背中の辺りをなでてみて、ぎょっとしました。
指先に、つぶつぶとしたものが当たったのですもの。
つぶつぶとしたものは、背中じゅういっぱいにあるみたいで、わたしがびっくりしてそこをかきむしると、ぽろぽろと何個かはがれ落ちました。
見ると、床に真っ白いビー玉サイズの球がいくつもいくつも落ちていました。
かがみこんで、まじまじとそれらを眺めてみますと、白い球は半透明で、中心で黒いものがもぞもぞとうごめいていることがわかりました。
黒いもぞもぞは、植物の種のようでした。
わたしは今にも吐き出しそうになってしまって、左手で口元を押さえました。
それが卵であることに気がついたからです。
白い半透明の卵が、わたしの背中に産みつけられていたようなのです。
いったいどうやって!?
どうして服を着ていたのにその内側に!?
わたしは不可思議な現象にきりきりと叫びもだえながら、血が出るぐらいに背中をかきむしりました。
カエルの卵はぽとぽとと床に落ちていきます。
時にはご飯粒のように、ぴったりと指先にくっついてきたので、腕をぶんぶんと振り回したりもしました。
わたしはほとんどの卵が床に落ちるのを確認すると、今すぐにも中から醜い赤茶色のカエルが生まれてくるんじゃないかと思って、右足の平でぷちりぷちりと潰していくことにしました。
そして全ての卵を踏み潰したあと、まずはカエルが産まれるんじゃなくて、オタマジャクシが産まれるんだということを、焦燥の中でぽつんと気づきました。
よくよく考えれば、両生類の変態というのはすごいことだと思います。