undecided
第1章 レグルージュのもとに
夜の八時半を、少し過ぎた頃のことでした。忘れ物を取りに、ひっそり静まり返った学校にやってきた優斗は、一階の一番奥にある音楽室から、ピアノの音がぽろんぽろんと聞こえることに気がつきました。ピアノの音の他に聞こえるのは、優斗の足音と吐息、それから校庭の隅に広がる草むらから聞こえる、鈴虫の鳴き声などでした。
とうに太陽は沈んでいるのに、いったい誰がいるのだろうかと、プールバッグを片手に、優斗は音楽室のドアを少しだけ、なるべく音を立てないように開けました。
室内に明かりはついておらず、真っ暗でした。窓にはワインレッドのカーテンがかかっているので、月明かりすらも室内にはこぼれていません。優斗はなんだか怖くってきました。ピアノの音は変わらず、ぽろんぽろんと一定のテンポをもって鳴り続けているのです。
怖さも強かったのですが、それに入り混じった好奇心を抑え切れなかった優斗は、自分が通れるくらいにドアを、今度は音を立てることを隠さないで、がらがらと開けました。すると、ピアノの音がピタリと止みました。
優斗は不思議に思いながらも部屋に入って、入り口のすぐわきに設置されている電気のスイッチを押そうと、腕を伸ばしました。カチリと、スイッチを押します。しかしどういうわけか、部屋に明かりはつきませんでした。不審に思った優斗ですが、それでもカチカチとスイッチを、何度か押したり戻したりしました。
とうに太陽は沈んでいるのに、いったい誰がいるのだろうかと、プールバッグを片手に、優斗は音楽室のドアを少しだけ、なるべく音を立てないように開けました。
室内に明かりはついておらず、真っ暗でした。窓にはワインレッドのカーテンがかかっているので、月明かりすらも室内にはこぼれていません。優斗はなんだか怖くってきました。ピアノの音は変わらず、ぽろんぽろんと一定のテンポをもって鳴り続けているのです。
怖さも強かったのですが、それに入り混じった好奇心を抑え切れなかった優斗は、自分が通れるくらいにドアを、今度は音を立てることを隠さないで、がらがらと開けました。すると、ピアノの音がピタリと止みました。
優斗は不思議に思いながらも部屋に入って、入り口のすぐわきに設置されている電気のスイッチを押そうと、腕を伸ばしました。カチリと、スイッチを押します。しかしどういうわけか、部屋に明かりはつきませんでした。不審に思った優斗ですが、それでもカチカチとスイッチを、何度か押したり戻したりしました。