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第1章 レグルージュのもとに

 校門を出た時、女の子が優斗の方を向きました。

「優斗さん、どうか私のことは誰にも言わないでください」

「はい」

「約束です」

 女の子はかすかに笑うと、すっと背中を向けて、すたすたと優斗の家とは反対の方向に歩き始めました。優斗は女の子を家まで送ってあげたほうがいいのかと思いましたが、ついに声をかけられませんでした。女の子の言動は有無を言わせない勢いを持ち合わせていたのです。

そして優斗は、音楽室の電気を消さないで出てきたしまったことに気がついて、もう一度薄暗い校舎へと戻らねばなりませんでした。

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