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恋のハードル高し!!(に)

第1章 予兆

放課後、珍しく私が逞を待っていた。

昇降口のドアに寄っかかって、逞の下駄箱を見ていると、何だか実感する。


自分が彼氏持ちだって。


小さいところに『しあわせ』って落ちていて、『掴むものだ』とか言うけど、探すものなのかも。

そうすれば勝手に集まってくる。

違うなぁ……もともとみんなも持っていて、それに気付いてないだけなんだろうなって思う。


「ミラ、お待たせ」

「うん待った」

「うわぁ、可愛過ぎる!!」


可愛げなく言うのに、逞は笑って私をからかう。


「お幸せに~!!」


「おう!」


逞の友達が、肩を叩いて笑いながら言えば、テレもなく返事をする。それをまた笑って、私に手を振るから軽く頭を下げた。

夏休み前、逞の事で私を怒った人は、祝福してくれるいい人だったのだ。

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