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悪魔と淫美な世界へ

第6章 ~揺さぶられる心~

 
 
 
その寝室では、魁とゆきはベッドの中で寄り添い深い深い眠りについていた。
 
だが、その2人だけの空間を邪魔するかの様にドアをノックする音が響いた。
 
 
 
「魁様、食事を持って来 ました」
 
 
「…ああ
 そこに置いておけ」
 
 
「はい
 それと大事な報告があ ります」
 
 
「わかった
 広間で待っていろ」
 
 
「わかりました」
 
 
 
ドア越しから聞こえていた琉希の声が止み…
 
魁はゆきの寝顔を愛おしそうに見つめた後、そっとベッドから降りて行った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
『人間の女に入れ込んで 周りが見えていない王 なんていらないだろう ?』
 
 
 
先に広間で待っていた琉希はふと、黒胡の言葉を思い出していた。
 
 
 
 確かにそうですが…
 魁様には絶大な魔力と 皆をまとめる才能があ ります
 
 黒胡様も絶大な魔力を 持っていますが…
 
 
「何の報告だ?」
 
 
 
こっちに向かって来る魁に、琉希は中指で眼鏡を直した後真剣な面持ちで口を開いた。
 
 
 
「先程、黒胡様がこの城 に侵入していました」 
「何?」
 
「やはり気付いていなか った様ですね
 あの人間に入れ込み過 ぎです
 
 そう隙だらけですと、 黒胡様に王の座を奪わ れますよ?」
 
「あいつはその気らしい 
 やる気のある者が王に なるべきかもな…」
 
「本気‥ですか?」
 
「ああ
 元々俺は王になる気は 無かった
 
 お前が裏で俺を王にし た様なものだろう?」 
「否定はしません
 ですが、前王である黒 胡様を倒したのは魁様 です
 
 力のある者が王になる のは当然の事だと思い ますが」
 
「フッ…そうだな」
 
 
 
琉希の‥自分への強い執着心を感じた魁は、折れた様に苦い笑みを浮かべた。
 
 
 
「黒胡様はどうしますか ?」
 
「あいつが動き出してい るのは確かだ
 皆の様子は変わりない か?」
 
「はい
 ですが、魁様への不満 の声が更に増えていま す」
 
「そうか
 またあいつと争わなけ ればいけない様だな」 
「そうですね」
 
 
 
重たく殺気だった空気が漂い、魁は黒胡の顔を思い浮かべ目を鋭くさせた。
 
 
 
 
 

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