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「ん？ああ。どんな場所に仕事に行っても場違いにならんようにって配慮らしい。スーツ着てる奴なんてそこら中にいるからな。」

渋谷が当たり前に返答したことが少し意外だったが、凛丸はそれに納得した。

「なるほど。ってかこのホーム、JRじゃないですよね？」

凛丸達が居るホームにはほとんど人がいない。凛丸、渋谷、あと数人の一般客のみ。

「このホームは私鉄になるからな。地元民しか使わないような路線を使って目的地に向かう。」
「目的地…どこなんですか？」
「質問ばっかだな…まぁいい。」

渋谷は呆れたような顔で溜め息を一つ吐いて、ポケットから携帯電話を取り出した。
何かを検索し、それを凛丸の顔の目の前に差し出した。

「これだ。通称 "きさらぎ駅" 。」