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案内屋 〜アンナイヤ〜

第3章 きさらぎステーション 其ノ三

無気力な二人、顔面蒼白。疲れ切った顔。虚無感や失望感に満ちた空気を割いて話し始めたのは、意外にも凛丸だった。

「脱出法の一つ、牛頭駅で新浜松方面の電車に乗ること。…帰れるんですかね…?」

渋谷も我に返る。

「一応これは、最もスタンダートな帰り方だ。大丈夫だ。だけど、ここに現れる人間にも絶対に話しかけるなよ?逆に話しかけられても無視だ。」

凛丸は黙ってうなづいた。
その意味を、重々に経験したからだ。
余りの恐怖だった。
ホラーだとか、それどころの問題じゃない。

「凛丸、これから俺たちは一旦新浜松まで戻る。そしたら車の中でこれからの作戦を練って、近くの適当な宿で一泊し、明日また動く。」
「分かりました。一応親には、仕事で長く出掛けることになるって伝えてあるので、大丈夫です。」

渋谷は相変わらず深刻な面持ちだ

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