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案内屋 〜アンナイヤ〜

第4章 きさらぎステーション 其ノ四

「僕、そんなお金もってませんよ?」
「大丈夫。ビジネスだし安い。全部事務所の経費で落ちるから。」

車は走り出した。
夜、街中のネオンが車内を淡く照らした。

「…疲れましたね…。」

日常会話の一つ。だが、その中身が余りにも非日常過ぎて、その意味は重い。

「宿に着いたら休め。まだ終わっちゃいないが、初仕事なのにお前はよくやったよ。」

その後、お決まりの沈黙が続いた。
しかしそれは前のように気まずさ故の沈黙では無く、共通の苦難を越えた上での、お互いを思いやった沈黙だった。
夜の街が、二人の帰還を歓迎しているように輝いた。


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