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案内屋 〜アンナイヤ〜

第4章 きさらぎステーション 其ノ四

既に振り返ってもあの分かれ道すら見えなくなった。
ただうっそうと茂る草木と、濃霧が広がる。
人の気配など無い。いや、本来無くて当たり前なのだ。

しかし奇妙なことに何者かに観察されている気がする。
凛丸は背中に視線を感じ続けていた。

「なんでこんなところに村が…でも、所詮は看板に書いてあっただけだ…もう無いかもしれない。」

それとなく期待もかけていた
何も無ければいい。そして何も起こらなければいい、と。

だが、そんな淡い期待は数秒の内に掻き消える。

「っ!?なんだ…!?」

何かが彼の後ろで動く。
茂る草木が風の無いこの場所で揺れる。

「何者だ!?出て来い!」

凛丸の声は周囲に反響した。
それほどまでにここの静けさは冷たいのだ。

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