隣り合わせの関係
第2章 その男
『同じ場所から…』
少し考えるように
ジルは目を閉じた
「ん…確かにあそことこの部屋は
同じくらいの大きさで
同じ造りをしてる…」
『…あそこ……?』
「あぁ…俺のいた場所だ」
『ジルの部屋ですか…?』
「ん…まぁ…
俺の部屋…と言われれば
そうなるのかもしない…
そろそろ
戻らなければならないな…
由衣、白いチョークのようなものを
持ってるか?」
『あ…チョークはないけど
クレヨンなら……』
「それで良い
今から魔方陣を書く」
そういってベッドから立ち上がると
クレヨンを受け取って
床に魔方陣を書き始めた
『え…?
ジルさん帰れるんですか…?』
「当たり前だ
俺をなんだと思ってる…」
呆れたような顔で私を振り返り
完成した魔方陣の上に立った
「少し訳あってあまり長く
ここにはいられない
でも、また俺が
ここに来ることはできる…」
『また……会いたいです…』
なに言ってるんだろ私
「ふっ……惚れたか…?
人間の女は単純だ」
呆れたような言葉なのに
私の頭を撫でる手は優しい…