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やっと、やっと…

第13章 命


次の日、私は学校への道をのたのたと歩いていた



(今日の部活の後、遥に打ち明けよう…)




学校に着き、教室のドアを開けると香菜が駆け寄ってくる






「唯ーーー!!本当に心配したんだよー!!
電話もしたのに出ないしメールも返事がないし、
どうしちゃったのかと思ったよー!」







こんなに心配してくれる友達がいるのだと改めて感じると胸が熱くなる






「心配かけてごめんね、熱も出てずっと寝てたからメールの返事もできなかったの。ありがとね」





重たい顔をなんとか緩ませて笑顔を作る











……………














その日は一日中何にも集中できなかった





窓の外の赤く染まった葉が揺れるのを眺めた






休み時間も香菜と話していても上の空

何度も香菜に大丈夫かと心配された









前の方の席には智己がいた





相変わらず、広くてたくましく、優しい背中







私は彼をどれだけ傷つけただろうか

あんな顔をさせた




いっそ智己にも全てを話してしまいたい


全て話してあの時のことを謝りたい











そうすれば智己は
必ず私を助けてくれるだろう














だけど、それは彼を巻き込むことになる



だからそれはできない











それに、嫌われるかもしれない


こんなに汚れた私なんだから


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