
やっと、やっと…
第15章 8年後…
家に帰り、お風呂に入って
ベッドの中へ…
スマートフォンを手に取り
電話帳をひらく
『柴田智己』
(メールアドレスも電話番号も
もう変わっているだろうな…)
そうは思っても
発信ボタンを押すことはできなかった
名前を眺めては
あの頃を思い出す
いつも私を笑顔にしてくれた
優しくて強かった
きっと、またあんな風に
私を抱きしめてくれることなんて
ないんだろう
涙が出た
(いい加減に諦めなきゃ)
そうは思っても
涙は止まらなかった
泣いているうちに
眠ってしまっていた
