
やっと、やっと…
第15章 8年後…
何年も経ったのにすぐに分かった
(・・・え)
智己だった
しかも、女の子と2人で…
私はあまりの驚きに
動けなかった
それは相手も同じようで、
扉を閉めるのも忘れて
ただ立っていた
「せんぱーい、どうしたんですか?
入りましょうよ」
一緒にいた女の子が
智己の腕を掴んでゆする
「…っあ、ごめんごめん」
扉を閉めてお店に入って来た
(どうしよう…)
とりあえず席を案内したものの
8年ぶりに会った大好きな人を前に
かなり戸惑っていた
しかも彼女のような女の子と…
バイト中だと言うのに
泣きそうだった
オーダーも他のバイトの子に取ってもらった
他にお客さんはいないので
2人の話し声が曖昧ではあるが聞こえる
元気な女の子の笑い声
智己は少しこちらを気にしているように見えた
智己はカジュアルではあるがスーツを着ていた
相手の女の子もOLのような雰囲気
(きっと彼女なんだろうな…)
入店した時の2人の距離感や
女の子の話し方
久しぶりに会えた嬉しさや驚き
でも彼女がいるかもしれないという
モヤモヤした気持ち
複雑な気持ちだった
