
やっと、やっと…
第17章 本当の初めて
「…はぁ、唯…」
キスの合間に吐息が漏れ、私の名前を呼ぶ
その甘い声と余裕の無さに
私もまた、
「と、もき…、んんっ」
自然と名前を呼び強く抱きしめた
それに応えるように、
大きな手で私の頭を抱え何度も啄むようなキスを繰り返した
ぎこちなかったあの頃とは違う
互いに大人になったのだ
もう遠慮なんていらない
愛し合う2人にはもう何も邪魔をするものはない
空白の時間を埋めるように、それぞれの気持ちを解放した
長過ぎた8年間は互いへの気持ちをさらに強くしていた
熱く深いキスのせいで、
体の力が抜け立っていられなくなる
「…、ふ、ぁんんっ…」
キスだけで体の奥がジュクジュクと蕩けそうだった
長いキスから解放され
智己の潤んだ熱い眼差しが向けられる
「ベッド行く…?」
嫌だと答えるはずのない問いかけに
「っうん…」
一呼吸置いて頷くと
智己は私の手を引いて寝室へと向かった
