
やっと、やっと…
第17章 本当の初めて
何度キスをしただろうか
優しいものから徐々に熱を帯びる
唇から耳へ、首筋へ、鎖骨へ…
智己に借りたTシャツの襟から覗く胸元まで
キスは止まなかった
「…っはん、ぁ」
甘い声が漏れて恥ずかしい
突発的に口を抑える私の手を取り
指を絡めベッドへ組み敷いた
次第にキスだけではなく、
舌が這う
ピチャピチャ、クチュ
耳元を舐める淫靡な音が頭に響く
「…ぁぁ、はぁ、んん、ぁ」
口を覆うものがなくなってしまい
声は自然と漏れてしまう
「はぁ、…唯、可愛い…」
耳元で囁く声にさらに体が疼く
智己は私に跨ったまま体を起こすと
Tシャツを脱ぎ捨てた
(…綺麗)
昔から体格は良かったが
腕や胸、腹も筋肉が浮き出ていて見惚れてしまう
まじまじと体を見てると、
「どうした?見惚れちゃった??」
微笑みからかいながら私を起こし今度は自分の上に跨らせると私のTシャツまで剥ぎ取ってしまった
「ーっきゃあ、ちょっと…!」
突然のことに両手で胸元を隠す
そんな様子さえもニコニコと微笑んでこちらを見ている
智己は昔からそうだ
真面目で誠実で優しいが
何かと私をからかって楽しんでいる
「ほら、恥ずかしがらずに手どけて…?」
「…っ心の準備が…!」
「まさか、家に来るのにこうならないと思ってたの?」
また悪戯な言葉をかける
「ほら、大丈夫だから、ね?」
優しく私を覗き込む智己に観念し
ゆっくり両手を下ろした
