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甘い蜜の―――……虜。

第2章 初めての一人暮らし。

「えーと、西野、恋くん。だったよね?」


「はい」


「君の部屋、此処だから。
204号室」


「はい……ありがとうございます」



今日から、この部屋で一人暮らし……。


俺の心はガキみたいにうきうきしていた。


大家の秋山と名乗る男が俺に鍵を渡す。
受け取った時も、やっぱりガキみてぇなドキドキてた。


俺、西野恋は今日から一人暮らしをする。


まだ20歳なりたての俺に金なんかあるわけもなく、安いこのアパートに越してきた。


今日から、一人暮らし。

この部屋は、俺だけのもの。

誰にも、縛られない開放感。


口笛を吹きたくなるような心境だった。


「―――で、右隣の205号室の人が大野さん。左隣の203号室の人が、榎本さん。近々挨拶にでも行ってね?」


「うっす……了解っす」


「俺は、1階に住んでるから。何か困ったことあったら、相談しにきて。まぁ、俺んとこ来るの面倒だったらその辺の住人にでも聞いといて」


「はぁ……うっす」


何か、随分適当な大家だな。


ちょっと……不安かも。

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