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それでもきっと

第1章 油揚げ



「兎は美味い」


友人狐のその言葉に稲荷を食べていた手を思わず止めてしまった。


「そりゃあ、兎は捕食対象だけど改めて言うことじゃないだろ」

ましてや人の食事中だ。

愛らしい兎を食べるところなど食欲が削がれるだけだ。


「いや、捕食じゃなくてよ」


やや鼻息の荒くなる友人に内心気味悪く思っていたところ、後ろから遮るように声がかかった。

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