
痛彼
第8章 昔話を少しだけ…
「サンドイッチ美味しいねー!」
「本当に旨いな。」
ガチャ…母さんのドアを開ける音が聞こえた。
「う”ぅ…」
バタッ
「母さんっ!?」
みんなで玄関へ向かった。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」
葵の悲鳴が響く。
悲鳴の先には、血で赤く染まりピクリとも動かない母さんと、
同じ色に染まったナイフを持った男が居た。
「て、てめぇぇぇぇぇぇ!!!」
「禊!!葵を連れて逃げなさい!!」
「でも…」
「早くしろっていってんだよ!!」
父さんが怒ってる、こんなの初めてだ。
俺は、よく分からないまま、葵を連れて裏口から家をでた。
・・・さよならもできずに。
